今月のテーマ

第39回:二重国籍者のパスポート使い分け、危険!

2023年11月11日 (土)18時~20時
 
蓑田先生

蓑田 透

(株)ライフメイツ
社会保険労務士事務所代表
帰国コンサルタント
03-6411-8984 (東京)
213-327-8650 (LA)
EMAIL
Email:minoda@life-mates.jp

 
専門分野:
1. 在留邦人向け日本帰国時の手続き代行、相談
2. 行政、金融等専門的国際手続き代行、相談
3. 各種年金に関する手続き代行、相談
4. 日本在住の老親や帰国者の生活サポート、終活

 

●日本国憲法第10条では「日本国民たる要件は、法律でこれを定める」と規定しており、国家の構成員としての資格を意味する国籍について、これをどのように定めるのかを立法府の裁量判断に委ね、それは受けて国籍法は第一条から第九条において日本国民の具体的要件を示し、第十一条では「自分の志望で外国籍を取得したときは、日本国籍を失う」と規定しております。

●この国籍法規定は違憲としてスイス等海外在住日本人8名が申し立てた裁判で、一審・高裁とも合憲と判断、原告側が上告した最高裁では、2023年10月2日、原告の主張を認めず、【自分の意思で外国籍を取得した日本人は日本国籍を喪失するという判断を確定しました。実はアメリカの国籍法でも、自分の意思で外国籍を取得した者はアメリカ国籍を失うとしております。

●アメリカ以外二重国籍を認めている国は87か国(条件付きも含む)、其れに対して二重国籍を認めていない国は51か国で、日本・中国・シンガポールがおります。つまり容認国と否認国数は拮抗していることが分かります。

●では容認国アメリカと否認国日本の国籍を有する人間にとって、これはどういう事を意味するのでしょうか。

●この件に関して在日アメリカ大使館・領事館では、下記の案内を行っております。

【二重国籍をお持ちの方: 米国の法律では、二重国籍者を含む全ての米国民に対し、米国への出入国は米国パスポートを使用することが定められています。お持ちのパスポートの有効期限が切れないようご留意ください。アメリカ-日本間を旅行される場合は、日米両方の有効なパスポートが必要です。日本の出入国は日本のパスポートで、アメリカの出入国はアメリカのパスポートを使用してください。二重国籍の方はESTA申請する必要はありませんので、申請しないでください】

●但し二重国籍を認めない日本国は、自分の意思で他国の国籍を取得した者は日本国籍を喪失することになっているので、

  1. 二重国籍を取得した日本人が日本のパスポートを提示する事は偽の日本パスポートで日本に入国を試みたという解釈が成り立ち問題になりかねないようです。
  2. アメリカのパスポートを提示した場合、日本入国のビザが必要です。
  3. 入官で自分は日本人だと主張した場合、それを証明する書類の提出(戸籍謄本等)が必要になります。手間とお金と時間がかかります。
  4. ④もしそれを提出できないような場合、在留届を提出、其れにより滞在期間も規定されてしまう事になります。手間とお金と時間がかかります。

●日本に自由に行き来したい二重国勢取得の日本人は一体どうしたら良いのでしょうか。ロサンゼルスの日本領事館では日本国籍離脱届を出してくれと説明しておりますが、今後パス
ポートはどう使い分けたらよいのでしょうか。それとも即日本のパスポートを放棄すべきなのでしょうか。

●今回は日本の専門家間でも意見が分かれるこのあたりに詳しい社会労務士の蓑田さんをお呼びし、そのあたりを学びたいと思います。

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